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住宅ローンの「借り方」いろいろ。
住宅ローン徹底解説第2弾!今回は「住宅ローンの借り方」について解説していきます。
マイホームの購入を考えはじめたとき、多くの方が最初に悩むのが「住宅ローン、どうやって借りればいいんだろう?」ということ。その中でも意外と見落としがちなのが、「誰の名義で借りるか」という選択です。
住宅ローンは、ただ借りられればいいというものではなく、「誰の名義で借りるか」がその後の家計や人生設計に大きく影響します。
夫婦どちらか一人が借りるのか、それとも二人で協力して借りるのか――。実はこの名義の選び方によって、借入可能額や毎月の返済額、さらには税制面の優遇まで、大きく変わることがあるんです。
知らずに進めてしまうと、「えっ、そんな仕組みだったの?」と後からゾッとすることも。
そんな後悔をしないためにも、今のうちに住宅ローンの借り方や、それぞれの注意したいポイントなどについてしっかりチェックしておきましょう。
一人で住宅ローンを借りる「単独名義」
夫または妻のどちらか一人の名義で住宅ローンを借りることを単独名義といいます。
住宅ローンの借り方で注意したいのは、主に借入可能額と住宅ローン控除、それに団体信用生命保険(団信)の3つです。ご主人様または奥様が一人でローンを組む場合、借入可能額は原則として一人分の年収に基づいて審査されるので、二人分の年収を合わせて借りるのに比べて借りられる額は少なくなります。
住宅ローンの年末残高に応じて所得税などが減税される住宅ローン控除は、住宅ローンを借りた人(名義人)しか対象にならないため、ご夫婦のどちらかお一人が住宅ローンを借りた場合、たとえ夫婦で返済していても名義人しか住宅ローン控除が利用できません。
借りた方が、万が一亡くなられた場合などには団信の保険金でその人が借りていた住宅ローンが返済されます。住宅ローンをお一人で借りてその方が亡くなった場合は、保険金で全額が完済されるので残されたご遺族はローンの心配をせずに住み続けることが可能です。
夫婦それぞれが住宅ローンを借りる「ペアローン」
共働き世帯で、ご夫婦がそれぞれ住宅ローンを借りることをペアローンといいます。お二人とも同じ金融機関で借りることが前提となります。
ペアローンは、ご夫婦それぞれの年収を基に審査されるのでお一人で借りるよりも合計の借入可能額を増やせます。ただし、ローンが2つになるとローン契約(金銭消費貸借契約)も別々になり、一般的に登記費用や手数料などが二人分かかります。 土地、建物共に単独名義とした場合と比べ、土地、建物共に共有名義にした場合、登記費用は概算で10~20万円高くなります。(物件、借入内容により変動)
ペアローンは、住宅ローン控除をお二人それぞれ受けることができます。ただし、お二人とも控除を受けるには住宅の名義をお二人の共有にしておく必要があるのと、それぞれ1000万円以上の借入をする必要があります。
ペアローンの場合の団信は、夫婦それぞれが加入することになり返済中にご夫婦のどちらかが亡くなられた場合、それぞれが借りていたローンだけが保険で完済され、もう一方が借りているローンはそのまま返済が続きます。 借入割合を決める際、年収だけでなく産休、育休も考えた住宅ローン控除額、死亡リスクなども考慮する必要があります。
夫婦の収入を合わせて住宅ローンを借りる「収入合算」
共働きのご夫婦が、二人分の収入を合わせて金融機関の審査を受け、1つの住宅ローンを借りる方法を収入合算といいます。一人分の収入で借りるよりも借入可能額を増やすことが可能となります。収入合算は、さらに連帯保証と連帯債務の2つのタイプに分けられます。
連帯保証
連帯保証とは、ご夫婦の一方が債務者として借りた住宅ローンをもう一方が保証する形のことです。連帯保証人は、債務者がなんらかの理由で返済できなくなったときに、その返済を肩代わりしなければなりません。
ただし、連帯保証人は債務者ではないので住宅ローン控除を受けることも団信に加入することもできません。
連帯債務
連帯債務とは、ご夫婦の一方が主たる債務者となりもう一方が連帯債務者となる形のことです。ご夫婦のいずれも債務者として金融機関に対してローンの返済義務を負います。また、ご夫婦二人とも債務者になるので、住宅の持ち分割合に応じて住宅ローン控除を受けることができます。フラット35で収入合算をする場合、ご夫婦の連帯債務となりますが民間金融機関の住宅ローンで連帯債務を選べるのは一部のみです。
連帯債務の場合の団信は、主たる債務者のみが加入するのが原則です。この場合、連帯債務者が死亡しても保険金が下りないので主たる債務者は返済を続けなければなりません。ただし、連帯債務のご夫婦のどちらも保険の対象となる夫婦連生型と呼ばれる団信に加入できるケースがあり、その場合はどちらか一方が亡くなられると、保険金でローンの全額が完済されます。この夫婦連生型の団信は、フラット35を借りる際に利用できる他、民間金融機関の住宅ローンでも利用できる場合があります。
このように、住宅ローンには4つの借り方があります。
なお、住宅ローンの返済額が引き落とされる返済口座は、ペアローンの場合お二人それぞれの口座から引き落とされますが、それ以外はお一人(主たる債務者)の口座からの引き落としとなります。連帯債務の場合も同様です。
ご夫婦で借入される場合、住宅ローン控除額、保障リスク、死亡リスクなど、何を重視して借入するか考えなければなりません。
保障リスクとは、連帯債務者が死亡した際の保障を考慮することです。連帯債務で借入した場合、奥様は団信に加入できず連生団信に加入しなければ、万が一、奥様が亡くなられた時の保障はないため、ご主人様だけで全額返済しなければなりません。連生団信は、限られた金融機関でしか利用できないことや、 加入できたとしても金利+0.3%程度上乗せとなることを考えると、初期費用が割高でもペアローンで借入した方が利息も安く、夫婦共に保障されて安心、という考え方ができます。
死亡リスクとは、ご主人様が亡くなられ、奥様が一人で返済することを考慮することです。ペアローンでそれぞれ2500万円を借入した場合、通常どちらか亡くなられた方の返済は0円となります。仮にご主人様が亡くなられた場合、一般的に奥様が子育てをしながらご主人様以上の収入を得ることは難しく、自身の2500万円の返済をすることが負担となることがあります。そのためご主人様の死亡リスクを考慮し、借入額を、ご主人様4000万円、奥様1000万円とし、ご主人様の万が一に備えるという考え方です。
このように、あらゆる事態を想定しそれぞれにあった最適な返済方法を見つけ、選択することが大切です。
いかがでしたでしょうか。
住宅ローンの借り方は、ちょっとした違いで将来の家計や暮らしやすさに差が出ることもあります。どの方法が合っているかは、ご家庭の収入やライフプランによって本当にさまざまです。
だからこそ、しっかり仕組みを知って、自分たちに合った選び方をすることが大切です。
「何が一番安心できるか」「どこに気をつければいいか」、そんな疑問があれば、ぜひお気軽にご相談ください。
いかがでしたでしょうか。次回は、「借入額と自己資金」についてお送りします。お楽しみに。
