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住宅ローンの「金利」いろいろ。
土地・住宅などの不動産を購入するときや住宅のリフォーム・リノベーションをするときに多くの方が利用する住宅ローンやリフォームローン。難しい言葉がよく出てきたりお金の話ということもあり、苦手意識を持ってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。(私は苦手意識ありです)
ですが、住宅ローンは何十年も高額な支払いをすることになる人生の一大決断をする場面なのに進められたから決めたとか、なんとなく選んだとか、そんな決め方をされている方も多くいらっしゃるのも事実です。自分でちゃんと決められたらいいのは分かっているけど。
でも、めんどうくさいし勉強する時間もないと思う方も沢山いらっしゃるかと思います。そんな方のために私に何ができるか、私は考えました。難しい専門用語や金利の種類、自分たちにあった借り方の判断基準など、これまで私が得た知識を少しでも分かりやすくご紹介させていただき、これからの住宅ローン選びの一助となればと。
専門用語から金利の種類、金利の選び方まで簡潔にまとめ、シリーズでご紹介させていただきたいと思いますので、住宅ローン選びで失敗したくないと思われる方はぜひご一読ください。第1弾は、一言で金利と言っても数多くある金利の種類についてご紹介いたします。
・固定金利
固定金利とは、ローンを借り入れた時からあらかじめ決められた期間において金利が固定できるローンです。固定金利には「全期間固定金利型」と「固定金利期間選択型」があり、固定金利期間中は世の中の金利水準がどれだけ上昇しても金利は見直されないため返済額は変わりません。固定金利選択型であれば、契約時に3年、5年、10年などといった固定金利期間を選択できます。例えば、当初固定金利10年で毎月の返済額が10万円だった場合、10年間は金利が固定されているので返済額は10万円のまま変わりません。最初に定めた固定金利期間が終わったら次の金利タイプを自由に選択できます。固定期間が長くなるほど適用金利は高くなります。将来的に金利が上昇すると考え、確実な返済計画を立てたいと考える方にお勧めです。
メリット
金利が固定されている安心感がある 返済額が変わらないので収支計画が立てやすい
デメリット
変動金利より金利が高めに設定されている 今後低金利で推移すれば変動金利より返済額は多くなる
・変動金利
変動金利とは、返済途中に定期的に金利が見直されるタイプのローンです。金利は4月と10月の半年ごとに見直され半年ごとの金利の見直し時に金利が変動しても利息と元金の内訳が変更されるだけで、次の更新まで毎月の返済額は変わりません。更新は、一般的に借入から5年毎にされ5年毎に実際支払った元金に応じて次の5年の返済額が決まります。5年間の元金返済額は、金利の変動があった場合、元金と利息の内訳が変動するため5年経過しなければ確定しません。金利が下がれば返済額は減り、金利が上がれば返済額は増えます。また、毎月の返済額は金利が上昇し返済額が高くなっても更新前の125%までというルールがあり、仮に毎月の返済額が10万円だった場合、どれだけ金利が上昇していても更新後の返済額の上限は125%の12万5,000円となります。
しかし、実際返済額が130%アップしていた場合、残りの5%は免除されるわけではなく次の更新時に繰り越されることとなります。現実的にあり得ませんが、万が一返済期間中ずっと金利が上昇し続けて125%を超えて繰り越された残金は、一般的に返済最終時に一括返済となります。
将来的に大幅な金利の上昇はないと考え、金利を少しでも安くしたい方にお勧めです。
メリット
固定金利よりも金利が低めに設定されている 今後金利が上昇しなければ、ずっと低金利を享受できる
デメリット
将来金利が上昇するリスクがある 確実な返済計画が立てられない
・フラット20・35・50
住宅金融支援機構が貸付をする住宅ローンが、フラット20・35・50(以下35で統一)です。フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して融資を行っており母体となる住宅金融支援機構は、国土交通省と財務省が所管していた住宅金融公庫の業務を引き継いだ独立行政法人です。20・35・50とは、最大借入期間を表しています。 借入時に全返済期間の金利と返済額が確定します。金利は当初10年と、11年目~完済までの2段階となり、自己資金割合、借入期間、住宅性能等により金利は変動します。借入時に35年間の返済額が決まり将来的な金利の変動リスクのない安心感はありますが、変動金利や固定金利期間選択型と比べて金利は高く、全期間固定金利型よりは安いです。(2025年4月時点)
6各金融機関で取り扱っていますが、適用金利や事務手数料は窓口となる金融機関によって異なります。また、一般の金融機関では住宅ローンの利用には団信への加入が必須とする場合が多いですが、フラット35は原則加入することになっているものの、健康上の理由で団信に加入できなかった人も住宅ローンを利用することが可能です。通常の住宅ローンと比較して保証料は0円ですが、手数料は窓口により借入額の0.4%~1%前後となります。審査は通りやすく間口も広いので勤続1年未満やパート、派遣社員でも審査対象となります。 フラット50は、融資の対象が物件価格の9割まで、長期優良住宅に認定された住宅に限られるなどの条件があります。
9割以上の借入を希望する場合、フラット35との併用も可能です。建設費が高めになる長期優良住宅の購入や建 築を後押しするために誕生したのがフラット50です。 フラット50には、他の住宅ローンにはない特徴として住宅を売却する場合に住宅ローン(債務)付きでも売却が可能です。通常は住宅の売却時にローンが残っていればすべて返済し、購入する買主は新たに住宅ローンの借入れをしますが、フラット50は購入する買主にローンを引き継ぐことも可能です。 買い手側から見ると、新たに住宅ローンを借入れするよりもフラット50の金利の方が低ければ有利に購入できると言えます。もちろん、新たに借り入れして購入することも可能です。なお、フラット50を引き継ぐ場合には引き継ぐ買主について住宅金融支援機構の審査があります。
フラット35は、健康上問題がある、確実な返済計画を立てたい、勤続年数や、 雇用形態などの理由で審査が通りにくい人にお勧めです。
・MIX(ミックス)金利
MIX(ミックス)金利とは、金利タイプや金利プランを自由に組み合わせることができるプランのことです。金利プラン、金利引き下げ、返済方法などが異なる複数の住宅ローンを自由に組み合わせて利用できます。将来の金利水準、金利上昇時のリスク許容度、返済計画など一人ひとりに適した組み合わせを選択でき、リスク分散したい人にお勧めです。
例えば、特約期間中は金利の変わらない固定プランと、金利変動リスクはあるものの当初返済額が固定プランより少ない変動プランを組み合わせることで、それぞれのメリットを活かし、デメリットを小さくすることができます。一部の金融機関によっては、一部繰り上げ返済をする場合、どちらの借り入れを繰り上げ返済するかをその時点での金利水準によって自由に選択できます。
・基準金利(店頭金利)と適用金利(実行金利・サービス金利)
基準金利とは、各金融機関の原則的な住宅ローン金利のことで店頭金利ともいいます。基準金利は一般の商品の定価とも言えます。金融機関では、住宅ローン商品や金利タイプ(固定型、変動型等)ごとにそれぞれ基準金利を決めており、実際にはそれよりも一定利率低い金利を適用するケースが一般的です。
実際に適用される金利は、「適用金利」「実行金利」「サービス金利」などと呼ばれます。なお、固定金利の基準金利は毎月見直され適用金利も基準金利に応じて変わります。
・優遇金利
優遇金利とは、文字通り優遇される金利のことです。適用金利がいくらになるのかを知るには、基準金利と優遇金利がいくらなのかで分かります。例えば、 基準金利が2.475%、優遇金利が1.6%だとすれば、0.875%が適用金利となります。優遇金利は金融機関によって異なり、毎月見直されて変動する場合もあれば変動しない場合もあります。各金融機関のホームページなどを見ると 優遇金利について-1.6%〜-1.85%などとされており、数値に幅を持たせているのは、建築業者や申込人の属性により優遇幅が変動する場合があるためです。 また、優遇金利には【当初優遇】と【通期優遇】の2種類がありそれぞれで優遇内容が変わります。
【当初優遇】
当初引き下げプランなどとも呼ばれる当初優遇では、決められた(当初)期間とそれ以降の優遇金利が変わります。例えば当初5年2.15%優遇でその後1.35%優遇など。通期での優遇金利と比べて、当初数年間の金利水準がより低く設定されているのがメリットと言えますが、当初優遇の期間が過ぎるとその後の金利の引き下げ幅は小さくなるため返済額が高くなります。そのため、当初引き下げ期間満了後に返済できなくなることがないよう注意が必要です。
【通期優遇】
通期優遇では、借り入れ当初から完済まで優遇金利が変わりません。優遇幅は当初優遇に比べて小さいものの、完済まで優遇幅が変わらないため返済計画が立てやすいです。
・審査金利
審査金利とは、一部の民間金融機関において金融機関が住宅ローン審査を行う際に借入限度額の計算に使用する金利のことです。多くの金融機関では、住宅ローン利用者の年収にあわせた借入限度額が設定されており、無理な借り入れはできないように制限されています。 この借入限度額を計算する際に、適用金利で計算する金融機関と審査金利で計算する金融機関の2種類があります。 住宅ローンの審査で、一部の金融機関が使用している審査金利は3~4%に設定されていることが多く、これはもし将来的に金利が上昇し金利割引期間も終われば適用金利は簡単に跳ね上がるので金融機関はこうした破綻リスクを警戒し、高めの審査金利を設定して借入限度額を厳しく審査しています。
いかがでしたでしょうか。金利についてこんなに種類があったと思われた方もいらっしゃるかもしれません。すべてを覚える必要はありませんがなんとなくでもご記憶いただけましたらきっとお役に立つこともあるかと思います。
次回は、『住宅ローンの借り方』についてご紹介いたします。お楽しみに!
